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紙ふうせんだより
紙ふうせんだより 4月号 (2019/05/09)
2019年(平成31年) 4月 卯月号
紙ふうせんだより
さまざまな事を未来に活かすために
さまざまの事おもひ出す桜かな 松尾芭蕉 |
自分の責任を棚上げし、誰かに押し付けてはならない
2005年4月25日 9時18分、JR福知山線が脱線。運転手含め死者107名、562名負傷、史上最悪の鉄道事故となった。制限速度70キロのカーブに時速約116kmで進入、1両目が外へ転倒するように脱線し後続車両が続いた。なぜ運転手のブレーキ操作が遅れてしまったのだろう。運転士歴11ヶ月の23歳の運転手は、事故直前の伊丹駅で70メートルのオーバーラン(正しい停車位置を越えるミス)を起してしまい、車掌に無線でミスを過小に報告するように「まけてくれへんか」と頼んでいる。列車は1分半の遅延を取り戻す“回復運転”のために速度を上げていた。この時、総合指令所にオーバーランを報告する車掌の交信を運転手は、慌てふためきながら聞き耳を立てていたのではないかと言われている。カーブ手前、列車は速度を落とす事はなかった。運転手が恐れていたのは、遅延やオーバーランなどのミスを起こすと会社から罰せられる「日勤教育」だったと後に証言されている。
日勤教育とは、就業規則や経営理念の書き写しや、プラットホームの先端に立って発着する乗務員に「おつかれさまです。気をつけてください」との声掛や、草むしりやトイレ清掃などを一日中させられる懲罰的な勤務で、軟禁状態にして管理者が集団で毎日のように恫喝や罵声を浴びせ続けて自殺や鬱に追い込んだ事例もあったという。このような“教育”を行うJR西日本の企業としての態度は、数多くのトラブルの原因を過密ダイヤや目一杯の運行速度等の組織の構造的問題と捉えずに、安全への責任を現場の個人に押し付けるものだった。
この事故とその後の変革への闘いを取材した『軌道』によると、「運転士のブレーキ遅れ」「日勤教育」「ATS-Pの未設置」等は事故の原因ではなく、結果だと言う。国鉄民営化から18年間の経営手法と、それによって形成された組織の無責任体質が招いた必然的な「組織事故」という指摘だ。これは責任者や事故当事者を追及すれば済むようなものではなく、一人ひとりが意識改革すべきものだ。自分に染み付いた“無責任”を問い、各自が「安全」と向き合う必要がる。
『軌道』東洋経済新報社 松本創
トップや幹部が悪いせいでこうなったと問題を単純化するのは、会社側が運転士個人のミスに帰そうとする姿勢の裏返しに過ぎない。組織の中の個々人が自分の責任を棚上げし、誰かに押し付けて断罪する、その『切断処理』こそが、組織全体を無責任体質にしたのではなかったのか。
「組織事故」という視点で「介護事故」を検討し、自立支援でリスクを減らす
これらが見られたら体力を維持向上させる取り組みや手すりや自助具の使用なども検討しなければならない。実は、これらはほとんどの利用者さんに当てはまる。利用者さんは異常をきたしているからこそ要介護の判定が出ているからだ。だから利用者さんの自立支援(ADLやIADLの向上への取り組み)をどうやって進めて行くかは、支援体制の最初から考えておくべきものなのだ。事故発生をシステムの問題として見る時、300の異常(要因)に対処しきれていないシステムの特性に問題があったと言えよう。
「前に家で転んだと言っていた」「ふすまが大きく破れていた」これらは既にヒヤリハットだ。ヒヤリハットはヘルパーさんの訪問時に起こるとは限らない。時間帯などを考えると訪問時以外の可能性が高いからこそ、目撃情報以上に利用者さんからの聞き取りが大切であり、会話の中のヒヤリハット事象を聞き逃してはならない。またヘルパーさんはヒヤリハットを目撃したら、宝くじに当たったくらいの重要事象だと理解してすぐに報告を入れなければならないが、現場のヘルパーさんに全ての責任があるのではもちろん無い。そもそも支援の方向性をサ責やケアマネが、自立支援など明確な意思を持って本人や家族やヘルパーさんと話し合っているかが問われてくる。私たち支援組織の全員は、利用者さんのADL低下に慣れっこになってはならない。異常を皆でスルーした結果としての事故と考えれば、異常に慣れ切った私たちの意識の問題があり、自立支援に有効な支援の仕組み作りの失敗があり、利用者さんときちんと向き合って来なかった私たちの態度こそが、より本質的な原因なのだ。私はここで“事故ゼロ”を声高に主張したいのではない。在宅生活とは自分らしい生活のためのリスク選択である。自立支援はその選択を支持し、リスクを減らすためにADL向上に取り組み、利用者さんが一人の時でも生活し続けられるようにしていく事が目的となる。在宅生活支援とはつまり継続的な自立支援なのだ。私たちの支援は、訪問時間だけではなく生活や人生の全体へと想像を拡げていく事によってこそ、本当に意味のあるものとなってくる。
利用者さんの変化に気づいたら(聞いたら)すぐ電話!!
紙面研修
失敗に学ぶ
300の異常やヒヤリハットをただ恐れてばかりでは、在宅生活に限界を感じてしまうのもまた事実だ。また、自立を促してご本人にやって貰おうと取り組んだことが、結果的に「できない」「やっぱり無理」という本人に対してのダメ出しになってしまい、本人が意欲を失ってしまうのも避けたい。また、「事故を起こさない事」のみが正しくて、一切の事故が許されないのであれば、「もう在宅生活はやめて施設に入ってもらおう」という事になりかねない。これでは在宅介護を推進する意味が無い。「角を矯めて牛を殺す」になってしまう。
【角を矯めて牛を殺す】 曲がった牛の角をまっすぐにするために叩いたり引っぱったりすると、牛は弱って死んでしまうことから、わずかな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうことをいう。「矯める」とは、矯正する。曲がったものをまっすぐにするという意味。
全ての「失敗」を排除しようとするのではなて、失敗からも学ぶ事ができるという事を理解しておこう。失敗があったからと言って落ち込む必要は無い。英語のことわざには「一度も失敗を経験したことのない者は成功できない」というものがある。発明王トーマス・エジソンは「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」と言っている。失敗学では「失敗」を以下の3つに分類している。
1.織り込み済みの失敗。ある程度の損害やデメリットは承知の上での失敗。 2.結果としての失敗。果敢なトライアルの結果としての失敗。 3.回避可能であった失敗。ヒューマンエラーでの失敗。 |
- と2. の失敗は、「失敗は成功の元」となり得る失敗である。また、この2つの失敗については、状況・結果などがある程度予測できたり、経験からくる的確な判断で対処したりすることができる。3.の失敗は、失敗からさらなる悪循環が生まれる失敗である。予想しておけば回避可能であったにも関わらず、予想をしていなかったためにパニックに陥り、ますます、状況を悪くしてしまう。
3の失敗はどうやったら未然に防げるだろうか。
外部研修のご案内 (主催:世田谷区福祉人材育成・研修センター) | |
以下の研修は、登録ヘルパー対象で登録ヘルパーさんに世田谷区から助成金が支給される研修です。 研修1時間につき1,000円が支給されます。事前に区内の事業所からの申し込みと登録が必要です。 ご希望のある方は、お申し出下さい。(紙ふうせんからも数名の参加実績があります) |
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介護職員研修【新任】基礎的な内容です(4,000円助成)6月14日(金)13:00~17:00 成城6-3-101F研修センター | |
信頼関係を築くための接遇・マナー研修(2,000円助成)10月30日(水)15:00~17:00成城6-3-101F研修センター | |
障害福祉の理解研修 (仮)「当事者とその家族から学ぶ高次脳機能障害者への支援」調整中 |
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(仮)「性的マイノリティの理解研修」調整中 | |
上記以外でも社員向け(とは言え、登録ヘルパーさんの参加を拒むものではありません)のさまざまな研修があります。詳しい研修内容等はHPで確認下さい。 世田谷区社会福祉事業団 世田谷区福祉人材育成・研修センター https://www.setagaya-jinzai.jp/ |
月一回定例のヘルパーミーティングは、偶数月を梅丘と祖師谷の合同で全体のミーティングとして行い、奇数月は梅丘・祖師谷別に開催します。
(内容)利用者さんの状況等・支援計画の変更の必要性の有無 今月の議題・伝達事項
★ミーティングと研修会を同時開催するのは、今までと同じです。
会議参加手当(ミーティング)は1回につき1370円です。
梅丘ヘルパーミーティング
5月14日(火)18:30~
【研修】緊急時の対応 (本郷)
祖師谷ヘルパーミーティング
5月24日(金)18:10~
【研修】自立支援のアイデア (佐々木)
全てのヘルパーさん対象です!! 健康診断を受診して下さい。
受診結果と領収書をお持ち下さい。特定検診の費用(オプションを除く)をお支払いします。