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紙ふうせんだより

紙ふうせんだより 3月号 (2019/04/22)

2019年(平成31年) 3月 弥生号

紙ふうせんだより

3月の記憶

ヘルパーの皆様、いつもありがとうございます。桜の開花に身心も軽くなりますね。自分も利用者さんも、何か新しい事に挑戦するにはもってこいの季節です。普段、家に引きこもっている利用者さんに、歩行力やADLの低下の心配から「リハビリしましょう!」とストレートに言っても、諦めかけている方はなかなか「うん」と言わないもの。でも、「桜を見に行きましょう」と楽しめる目的をみつければ、乗り気になるかもしれません。桜を楽しんだら「気持ちよかったですね、またでかけましょうね。」と約束して、出かける度に少しずつ歩く距離を伸ばしたら、身も心も少しずつ元気になります。ところで3月と言えば何でしょう。

東京大空襲

74年前の3月10日、天を真っ赤に焦がす明るく熱い異様な夜空を見たという方も多いでしょう。当時、足立区の鹿浜に住んでいた利用者さんは、「焼夷弾をぼんぼん落とすんだからみんな燃えちゃって浅草の観音様は残ったけど、観音様まで何にも無くなって家から見えたんだよ。上の子は山梨に疎開していたけど、下の妹を抱いてサ(※1)イレンが鳴る度に防空壕に出たり入ったりしてたんだよ。田舎だったけど、どこの家が爆(※2)弾が落ちてふっとんだ、誰それが亡くなったって言ってねぇ。爆弾が落ちると地震のように揺れるんだよ。戦争はもうやめて欲しいって思ったけど、そんな事を言ったら大変だからねぇ。」とおっしゃっていました。

9日22時30分、警戒警報のサイレンが鳴る。寝ている子供を叩き起こして防空壕に避難するが、しばらくして警戒解除のサイレン。翌午前0時7分、サイレンは沈黙したまま深川・本所・浅草・日本橋を皮切りに空襲が始まった。1機あたり1520発の焼(※3)夷弾を搭載した325機の大編隊は、日本一の住(※4)宅密集地に容赦なく焼夷弾の雨を降らせた。空襲警報が鳴った0時15分には、火炎旋風(炎の竜巻)が秒速100mであらゆるものを呑み込み始めていた。通りは“火の粉の川”となり、火炎は高度600メートルまで吹き上がった

「雨のように降る焼夷弾が炸裂し、不気味なB29の爆音が、その飛行する姿とともに身に迫り、赤々と天を焦がすさまは、何かこの世の最後のような、宇宙が終わりを告げるような、名状しがたい天と地の緊迫感が、ゴオーと鳴ってくるような押し流されてくるような異様な気配でした。

やがて、ざわめきの中で近隣の人びとが家を離れ避難するようになりました。吹く風は冬(※寒波によって防火水槽に氷が張る寒さだった)だと言うのに生暖かく、それが熱風と変わり強さを増してきました。ひょっと裏の路地を見たら、いつのまにか、すぐそこまで火災という差し迫っている状態に驚き、父は私たちを誘導し、人々と反対に風上に向かって、川っぷちに逃げ出そうとしました。するとどうでしょう。目の前は火の壁なのです。そして、今でも忘れようにも脳裏に鮮明に焼き付いて離れない恐ろしい事態を見ました。その火の海、火の渦の中に、人間が巻き込まれて宙をぐるっと回っているのです。火の車輪の中にはまって、人が輪っかになって燃え上がっているのです。

火勢がきっとつむじ風になるのでしょうか。私はこの光景を12か13歳の目で見て、大きな衝撃でした。私たち人間の身体が一片の紙くずのように火に燃えてしまうなんて!!

下町全部が火葬場のお釜の中と同じだったのです。」     『東京大空襲・戦災誌第一巻』
※1警戒警報3分鳴動/1回、 空襲警報4秒鳴動8秒休止/5回、警報解除1分鳴動/1回 ※2鹿浜は4/13-14に城北大空襲にあっている ※3  M69集束焼弾の子弾で ※4戦時国際法違反であるが“内職をしているので民家は軍需工場”という詭弁で作戦を立案。指揮官カーチス・ルメイは戦後、佐藤内閣時に勲一等旭日大綬章を贈られている。

命の軽視の結果としての“破局”

41全てを焼き尽くした大空襲は、一夜にして死者10万人以上、消火しようとして逃げ遅れた方も多い。空襲時の初期消火は防空法で国民の義務とされ、“爆弾が落ちたら待避所から飛び出して消火活動をせよ”“自分の家が燃えているのに爆弾を怖れて待避所に逃げているなど、言語道断だ”と言われていた。翌日の各紙の朝(※5)刊は「五十機に損害 十五機を撃墜」と大本営発表の“戦果”のみで、100万人を超える罹災者という未曽有の被害には沈黙した。

3月14日の貴族院議会で大河内議員は、「(政府は)『疎開する者は非国民だ』とまで言いだした。ぐずぐずしているうちに、昨日の被害、死傷者が出た。(略)大都会が焦土化するのは時間の問題だと思います。次は東京が全部やられるかも知れない。その場合に、人を助けるか物を助けるか、どっちを助けるかを伺いたい。(略)内務大臣から隣組長などに、『火は消さなくてもよいから逃げろ』と言っていただきたい。」と質問している。対して内務大臣の政府答弁は、「焼夷弾に対して市民が果敢に健闘いたしております」「初めから逃げてしまうということは、これはどうかと思うのであります」と、他人事のような態度に終始した。

さらに政府は、米軍による“空(※6)襲警告ビラ”を無届に所持した者は懲役2ヶ月と決定し、敵の宣伝を流布してはならないと命令した。国民の命を軽視したままツケは国民に押し付け、大空襲は全(※7)国へと拡大しついに広島・長崎の破局を迎えることになる。

惰性で過ごすのか、充実して生きるのか 

政府は思考停止に陥っていた。国民が知るべき情報を改竄・隠蔽して国民の目と耳を奪い、死傷者をむやみに増やしてしまった。合理的に考えれば、国民の命をできる限り守り、助かった人材を活用する方が戦力維持にもなったはずだ。ひとたび政策決定されるとそれに従う事のみを“最善”とする態度は、“責任を取らなくて良い”“自分の頭で考えなくて良い”という気軽さはあるが、国民にとっては“最低”である。一体誰にとっての最善なのか、統治機構の中の「指示する側」は批判を免れ「従う側」は長いものに巻かれて、お互いの“支配者”の地位を保全しあう無責任体質が“政府の強み”となっている状況は、惰性でゴマカシを積み重ね、破局に至るまで軌道修正ができないので真に恐ろしい。

先の構図の「国民」を「利用者」に置き換えて介護について考えてみよう。“指示する側→従う側→利用者”の力関係が一方通行である限り、結局は利用者軽視となってしまう。そのような支援構造の歪みの結果として、利用者さんの“ADLの低下の見過ごし・転倒・入院”という破局に至る。「破局なんて大げさで、やがて誰でもADLは低下し死を迎えるんだから結果は同じ」という声もあるだろう。しかし大切なのは結果(死)ではなく、それまでの過程(生)だ。自分を軽視し軽視され早く死にたいと思いながら惰性で過ごすのか、自分が尊重され自分を再発見しながら充実して生きるのか、その違いは大きい。本当に“最善”を目指すなら、支援者自身が自身の態度について、自分の頭で考え、その考えに責任を持つ必要がある。「利用者さんに寄り添う」という言葉の意味を、もう一度よく考えてみたいと思う。

※5写真は読売報知新聞(一面の2番手の記事) ※6東京には2/7散布 ※7世田谷への空襲は散発的なもの含め12/20、12/27、2/19、2/16、3/10、4/4、4/7、4/15-16(城南京浜大空襲)、4/19、5/24、5/25(山の手大空襲)、6/11

緊急時の対応について《2》

【正常性バイアス】 自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりしてしまう、人の持つ特性のこと。

《社会心理学・災害心理学の考え方として》

自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、回避行動の遅れの原因となる。

古い考え方では、緊急時に人は容易に“パニック”陥ると考えられてきたが、パニックが起こるのは実際は希である事が分かっている。むしろ危機に直面した人々は、ただちに回避行動を取ろうとしない場合が多く、原因に「正常性バイアス」が指摘されている。

東日本大震災

津波避難では「警報が出ているのを知りながら避難しない」人たちがいた。地震発生直後のビッグデータによる人々の動線解析で、ある地域では地震直後にはほとんど動きがなく、多くの人々が実際に津波を目撃してから初めて避難行動に移り、結果、避難に遅れが生じたことが解っている。正常性バイアスによる根拠のない楽観的思考が対応を遅らせたと考えられる。

2014年の御嶽山噴火

死亡者の多くが噴火後も火口付近にとどまり噴火の様子を写真撮影していたことがわかっており、携帯電話を手に持ったままの遺体や、噴火から4分後に撮影した記録が残るカメラもあった。彼らが正常性バイアスの影響下にあり、「自分は大丈夫」と思っていた可能性が指摘されている。

ポイント

緊急時にもかかわらず、日常の延長のように行動してしまい、緊急対応ができなくなってしまう。

緊急時に緊急対応行動を起こせるようになるには、自分にも「正常性バイアス」が働く事を自覚する

~ヘルパーミーティングについて~

来年度より月一回定例のヘルパーミーティングは、偶数月を梅丘と祖師谷の合同で全体のミーティングとして行い、奇数月は梅丘・祖師谷別に開催します。

★ミーティングと研修会を同時開催するのは、今までと同じです。

(GW対応) 4月は実施記録の早めの提出をお願いします!

月末まで溜めないようにご協力お願いします。 (祝日は、時給1.25倍です)

【2019年4月より、年5日以上の年次有給休暇の取得が義務化されます】

 

《対象者》 年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理者含む)に対して。

《義務》 年次有給休暇を付与する日から1年以内に5日以上の有給を取得させなければならない。

《ただし》 労働者が自ら申請して取得した年次有給休暇日数も、5日に含めることができる。

《有給取得が5日未満の場合》 有給取得の時季を(相談しながら)指定して取得させなければならない。

※使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し3年間保存することが義務付けられました。

使用者と労働者があらかじめ話し合い、勤務表に計画的に有休取得日を入れる「計画年休制度」という法もあります。(年休有給休暇の申請書は事業所にありますのでお声掛け下さい。)

~~ヘルパーミーティングのお知らせ~~

【日時】 2019年 4月17日 水曜日 18:30~

梅丘の事務所内にて(祖師谷・梅丘含む訪問介護全体のMTGです)

★担当利用者さんの状況等・支援計画の変更の必要性の有無 ★今月の議題・伝達事項

会議参加手当(ミーティング)は1回につき1370円です。

【研修会】 テーマ 信頼とコミュニケーション (斉藤)

(関連項目:接遇等)


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