【紙ふうせんブログ】

令和2年

紙ふうせんだより 6月号 (2020/07/31)

鳥ははばたくということ

ヘルパーの皆様、いつもありがとうございます。脱水や熱中症にはご注意下さい。利用者さんにも声掛けをお願いします。皆さんの対策は何でしょうか? 私は濡れ手ぬぐいを首に巻いていますが、水が乾くことによって頸動脈が冷やされます。手軽で良いですよ。また、事業所には冷たい飲み物も用意していますので、水分補給や休憩にご利用下さい。

“想定内の自分”の外に出るということ

事故や病気は皆さんも注意をされていると思います。とは言っても、注意していたらその全てを防げるというものでもありませんし、全てを警戒して怯えて生活することも無理です。もちろん事件は未然に防ぎたいところですが、起こってしまった時にどのように対応できるか、ということが大切です。その時、動転せずに対応できるかどうかは、自分自身の失敗も含めて「想定外は起る」という事を心の中に入れていたかどうかにかかっています。強く動転してしまうと、「気持ちがついていかない」というのは有ります。後悔に似た孤独を感じる苦しい時間がやってきます。しかし、その時間もまた気持ちが静まっていく中で自分を振返り、新たな発見をするものとなれば、結果的に良いものに変わっていきます。それらは“想定内の自分”の外側に出るということなのです。

計画通りに行かないということ

危険をいち早く察知し適期を見逃さないことは、生存競争に必須です。やがて先を見越して計画し実行の積み重ねが文明となりました。そうやって人類は発展してきたのですから、見通しが立たないものに人はストレスを感じます。計画は大切です。計画を立てて実行し、結果を評価して課題を抽出して再度改善計画を立て、効率的に成果を求めるPDCAサイクル(Plan計画→ Do実行→Check評価→Act改善)という方法論は、ビジネスや介護保険制度でも使われています。しかしここに落とし穴があります。枠組みをもった計画が“立派”なものであればあるほど、枠組の外に“想定内の外”に出られなくなってしまうのです。例えば子供の頃からマジメで夏休みの宿題は計画通り実行し良い成績を修め難関校に入った人が、もはや何の為の勉強かを忘れて、望み通りの大学合格に拘泥してしまっているところに、失敗してしまったとします。失敗に慣れていなかったばかりに、たった一つのつまずきに人生の計画の一切が終わったと感じて引きこもってしまう、というのはある話です。

介護計画とは何の為にあるのでしょう。利用者さんのニーズを満たし、「その人らしい生活」の実現が目的であって、その為に課題と取り組み内容を明らかにする道具として介護計画書があるのです。計画の目的が“計画通りの実施”ではないことは明らかです。利用者さんが計画から外れていくということは、新しい課題やニーズが生じたという意味では良い展開なのです。(※但し、計画に沿ったサービス内容でなければ給付は下りないので、収まるようにする工夫は大切です。)想定内の外側は、見通しが立たたない不安はあります。しかしそれは新たな成長の幕開けであり、歩み始めれば不安は希望へと変わっていくものです。

 

卵の中からぬけ出ようと戦うこと

ヘルマン・ヘッセの小説『デミアン』は、シンクレール少年が幼年期の自分を脱して思春期へ青年期へと成長していく物語です。世界の破壊のような第一次世界大戦に従軍したシンクレールが敵弾に吹っ飛ばされて担架に担がれて病床に寝かされる劇的な幕切れとなるこの物語には、「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。」という一節があります。

生まれるということや生きるということは、一体何でしょう。「生きているのがつまらなくなった」と言う人は、自分の世界の外側への絶えざる飛翔の試みを止めてしまっています。また、自分の価値観に固定された狭い世界から抜け出せない人は、いつかは自分に限界を感じて「生きていてもしょうがいない」とつぶやくかもしれません。若さや美貌、知力や体力、仕事での活躍、社会的地位や財産、愛する人や友人との交流。自分が重きを置いているものから離れなければならなくなってくる時は、必ずきます。その時、自分の世界が崩れ去っていくように感じるのです。しかし、自分の世界の外側にも世界はあります。これは「卵の中からぬけ出よう」とする再生の戦いなのです。そしてその戦いの瞬間、世界の確かな存在に気が付くということ。それが生きているということではないでしょうか。

生きているということ

これから一部を抜粋して引用する谷川俊太郎の「生きる」という詩は、世代を限定したものではありません。誰にでも当てはまります。しかし私には、最後の時間を必死に生きるあの人の姿が重なって見えてくるのです。
 

生きているということ

いま生きているということ

それはのどがかわくということ

木もれ陽がまぶしいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ

くしゃみをすること

あなたと手をつなぐこと

(----中略----)

泣けるということ

笑えるということ

怒れるということ

自由ということ

(----中略----)

いまどこかで兵士が傷つくということ

いまぶらんこがゆれているということ

いまいまが過ぎてゆくこと

(----中略----)

鳥ははばたくということ

(----中略----)

人は愛するいうこと

あなたの手のぬくみ

いのちということ




※マスクやアルコールが事務所にあります。足りない方は取りに来て下さい。

 

紙面研修

熱中症を防ぐ 

下記の空欄の穴埋めをしてみよう

 

【身体に熱がこもるとどうなるのか】

人間の体の中では、いつも熱が作られています(産熱)。そして体の体温を一定に保つ働きが人間の体にはあります。気候条件や運動量増加により、体内の熱量が増えたにもかかわらず、放熱とのバランスが崩れてしまったときに熱中症は起こります。

体の熱量が増えると、体の表面(皮膚の下)の ① は拡張し血流量は増加します。体内の熱を体の外に逃がしやすくする為です。その時、血液が全身に行き渡るために体内の血液が一時的に不足して ②  が下がってしまう事があります。すると ③ に十分な血液が送られなくなります。 ③ への血液供給が少ないと、脳は酸欠を起してしまい、めまいや立ちくらみや、意識を失ってしまう事があります。これを「熱失神」と言います。お風呂の“のぼせ”と同じ原理です。なお、高齢者がお風呂で亡くなってしまう原因は入浴中の急な血圧低下によって失神し溺れてしまうからだと言われています。

体を冷やすためには、太い動脈が体表近くにあるところ(首、わきの下、太もも等)に、保冷剤や濡れタオルなどを当てるクーリングを行います。

 

【脱水になるとどうなるのか】

体温が上昇した時には体は汗をかきます。汗の ④ によって、体は放熱する事ができます。この時、発汗量が多いにもかかわらず、水分補給が足りないと、体は脱水状態になります。脱水状態が長く続くと、頭がボーっとして全身がだるくなって、水分や食事を摂ろうという“やる気”さえ無くなったりします。

「だるい」「なんとなく手足がツル、痺れるような感じがする」さらには「頭が痛い」「吐き気がする」「めまいがする」ということも起こります。「熱疲労」とも言われます。

これらの症状の怖いところは「ぼんやりとしてしまって、判断が鈍る」事です。例えば、炎天下にちょっと外出して帰宅したけれども、だるくってコップ1杯の麦茶を飲んで寝てしまった。その後、目が覚めても疲れが抜けず夕食を抜いてしまった…。単なる“疲れ”であれば、1食抜いても寝て休めば治ります。しかしこの“疲れ”が脱水に起因するものであれば、寝ている間にも症状は進行します。そして、食事から補給される水分量は多いわけですから脱水の悪化は避けられません。翌朝、脱水状態で一晩過ごしてしまったために脳梗塞を起してしまった!となったら大変です。

そのようになる前に、頭がぼんやりとして身体の危険信号に注意を払えなくなってしまう前に、日頃の意識的な水分補給が大切です。体への吸収の速いポカリスエットなどのスポーツドリンクなどが有効ですが、高齢者などで水分摂取が困難な様子であれば、病院へ搬送し点滴をしなければなりません。独居の方は救急車要請を検討する場面です。

脱水症状の本当に怖いところは、それが心筋梗塞や脳梗塞の原因になる事です。体温が上がると、身体は「放熱」の為に血管を拡張させます。その結果、血圧が下がって血液を送り出す力が弱まります。そのような時に脱水が加われば、脱水症状でドロドロになった血液は「血栓」ができやすくなります。血栓が心臓に詰まれば ⑤ 、脳に詰まれば ⑥ です。どちらも対処が遅れれば命に係わります。

 

【運動中の若者が倒れる「熱射病」】

運動中に疲労はつきものですし、喉も乾きます。だからと言って身体のサインを無視し続けると、熱の影響が脳に出てしまいます。これを「熱射病」と言います。そうなると自分では判断できませんし、意識が遠のいて倒れてしまいます。運動部の練習などで炎天下にトレーニングしていたらぐったりしていたので、木陰で寝かせていたらそのまま亡くなってしまったというニュースがあるように、大変危険な状態です。また、汗の中にはナトリウムなどの塩分(電解質)が含まれていますが、大量の発汗の後に、塩分を補給しないと体の中の塩分量が不足してしまいます。電解質は筋肉の動きを調整する役割も持っているので、塩分が不足をすると手足がつったり、筋肉が ⑦ をおこしてしまうことがあります。これを「熱けいれん」といいます。

【要注意】 ◾元気がない ◾食欲が無い ◾便秘が続いている  ◾尿の色が濃く量や回数が減った

◾居眠りをしていることが多くなった ◾手足が冷たい ◾指の先が青白く冷たい ◾首筋がべたべたする ◾皮膚やわきの下が乾燥している  ◾口の中が乾いている ◾皮膚に張りが感じられない

◾微熱が続いている ◾血圧が低い ◾脈が速い(120回/1分) ◾体温が37℃以上ある

◾爪を押して離した時、赤みが戻るまで3秒以上かかる ◾手の甲をつまむと形が残る(富士山)

◾吐き気がする ◾頭痛がする ◾しびれや痙攣がある ◾受け答えの反応が弱い ◾めまいがする

◾夜間や日中の室温が高い ◾下痢や嘔吐、大量の汗をかくなどを繰り返している(脱水リスク)




熱中症にご注意下さい(自分も利用者さんも)

◎疑いのあるケースは、すぐに現場からお電話下さい◎



自転車移動中のマスク着用は、

よっぽどの人混みでない限り

不要です。

また、利用者さんと適切な距離

の取れている掃除などの時は、

マスクから鼻を出して鼻呼吸

で作業するようにして下さい。

(マスク着用での負荷のかかる作業は、

体温が上昇して熱中症のリスクが高まります。また、呼吸数の上昇・血中二酸化

炭素濃度の上昇によって心拍数も上昇し心臓にも負担がかかります。)

※医療用のサージカルマスクであってもウイルスの空気感染は防げません。現実

的にはコロナウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。

マスクをする意味は、飛沫感染の予防にあります。(5分間の会話で1回の咳と

同程度の飛沫(約3,000個)がでます。)

※飛沫(原因は咳・くしゃみ・会話)を飛ばさないために、利用者さんとの会話ではマスクを着用してください。

 

◎引き続き、手洗い・うがいの実施をお願いします。

※空気感染(飛沫核感染)とは、ウイルスの単体など(直径0.004ミリメートル以下=4マイクロメートル以下)が空気中を長時間漂うことによって感染を起こすものです。空気感染する主な感染症は「麻疹(はしか)」「水ぼうそう(帯状疱疹)」「結核」の3つです。ほとんどのウイルスは空気感染ではなく唾液や鼻水が微小な粒子となって飛散する飛沫感染(直径0.005ミリメートル以上→重いため1~2メートルで地面に落下する)で感染拡大します。また、飛沫の付着した物を触った手で自分の目や鼻や口(粘膜)を触ることによっても感染(接触感染)します。必要に応じて室内換気を促して下さい。






 

 

 

筆記試験 令和3131日(日曜日)

【申し込み】令和2年8月12日(水曜日)から9月11日(金曜日)まで(消印有効)

筆記試験受験には、「介護職員実務者研修修了」が必要です。(実務者研修修了者は実技試験不要です。)

 

 

(紙面研修 回答) ①血管 ②血圧 ③脳 ④蒸発・気化 ⑤心筋梗塞 ⑥脳梗塞 ⑦けいれん

 


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