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平成28年
紙ふうせんだより 3月号 (2016/09/15)
皆様、いつもありがとうございます。待ち焦がれた桜の花が咲きました。桜の季節はいつも寒の戻りがありますが、それを越えてようやく本当の春という気がします。一年生は二年生に、小学六年生は中学一年生になる季節です。成人○年生の私達は、何年生になるのでしょうか。新しい春はどのような人にも等しく訪れます。変化するのは子供だけではないはずです。私達も一年一年成長をしていきたいと思っています。
変化をどのように受け止めるのか
私達が関わっている高齢者も、今まさに変化の季節を迎えています。それは、身体の衰えという表象とともに現出する、心の変化の要請です。身体の変化に伴い心の成長が求められるにもかかわらず、身体の変化を否定的にしか受け止められない場合、心は変化する事を拒否します。そのような心と体のアンバランスは苦痛となるでしょう。
(「老いを生きる意味」浜田晋) |
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ライフサイクルという考え方
人生には様々な段階があり時に応じて課題も変化していくと言われています。洋の東西を問わずこのような考え方は昔からありますが、発達心理学者のエリクソンが、人生の課題を乳児期・幼児期初期・幼児期・学童期・青年期・成人期初期・成人期後期・老年期という8段階に分けて説明した事によって、「ライフサイクル」という言葉が広く世間に知られるようになりました。エリクソンに先立って、分析心理学の創始者ユングは人生を太陽の運行に譬えて、少年・成人前期・中年・老人というサイクルを示しました。その太陽の運行は、夜を越えてまた再び朝となる円運動です。“サイクル”(=円環)と言われる所以です。
古代インドでは、人生を、学生期・家住期・林住期・遊行期(がくしょうき・かじゅうき・りんじゅうき・ゆぎょうき)としています。また、全てのものが成・住・壊・空(じょう・じゅう・え・くう)と、その次にまた「成」を繰り返すという円環の思想がありました。古代中国では青春・朱夏・白秋・玄冬といって、人生を四季と重ねて緑赤白黒を象徴とします。孔子は、志学・而立・不惑・知命・耳順・従心(それぞれ15・30・40・50・60・70歳)と述べています。
時代や地域によって定義や区分けは異なりますが、いずれの考えも、人生の各段階の毎に課題があり、現在の考え方の単純な延長線上に次の未来を想定するわけにはいかない事を示しています。今、超高齢化が叫ばれ、老年期が長期化するようになった近年の日本の社会においては、高齢期の心理状況や課題を、もっと分析し研究する必要があるのではないかと言われています。“発達”心理学などは成長期の分析に重点が置かれており、超高齢化社会をカバーできません。ところで日本では、能の大成者の世阿弥が「守破離」として、道を極めていく過程を示しています。「守」とは教わった通りに行い、「破」とは師匠の教えや経験則を破り試行錯誤します。「離」とは、新しい自分を確立する段階です。そしてその上で、一つの部分を極めてもその上を目指すならば、離の後の「守」を再び破っていく円環を繰り返すと考えられます。人生はその内部においてたえず円環を繰り返してしているのです。
では生と死を含めた命の全体は、果たして円環しているのだろうか? 日没を迎えた太陽はその後どうなるのか? このような各個人の考察や試論こそが、超高齢化社会を越えていく為に必要になってくるのではないでしょうか。新しいこれからの日本にとって必要なライフサイクルの考え方とはどのようなものか。死生観に対しても臆せずに向き合う必要があります。その試行錯誤の最先端にいるのは、実は介護の仕事をする私たちなのです。
人格心理学』(鈴木乙史, 佐々木正宏 編著)
「一回限りの人生を生きる個人にとって、正午の絶頂から午後の下降を前もって実感を込めて知ることはできない。人生の午後にいる人間は、生の縮小を強いられるのだということを悟らなければならないのである。そして、自己に対して真剣な考察を捧げることが、義務であり必然だとユングはいう。 人生の午後は、午前と同じプログラムで生きるわけにはいかない時期なのである。人生の午後の課題は、自己に対する真剣な考察を捧げ、人生の前半で排除してきた自己を見つめ、自己のなかに取り入れることである。ユングは、このことを個性化と呼んだ。中年期の転換期ではこのように、生き方や価値観の転換をしなければならないのである。」
<総合事業について>
かねてよりお伝えの通り、4月から、「予防訪問介護」のサービスが利用者さんの介護認定更新時に、順次、世田谷区の新しい「総合事業」に移行になります。(正式名称 介護予防・日常生活支援総合事業第1号訪問事業)
★利用者さんにとってのサービスの内容は、直接的には変更はありません。
★総合事業に変わっても、ヘルパーさんの給与は変りません。
★変更する点
①事業の実施主体が国ではなく、世田谷区になります。
②事業所からの国民保険団体連合会への請求方法等が変わります。
③書式の変更
会計の区分け等のために、サービス実施記録や出勤簿などの社内書式の変更を行います。(ケアマネさんが発行しているケアプランやサービス利用票も変更になります)
★注意する点…利用者さんへのサービスが、2種類に分かれます。
どちらになるかを最終的に決定するものは“ケアプラン”です。
①「総合事業訪問介護サービス」(現行相当と一般に言われています)
いままで同じ内容で、全国的にH30年度末までは同じ基準となっています。料金も今までの制度と同じです(月定額制)。支援内容は、主に自立支援や共に行う家事など、基本的には身体的な介護内容が対象です。
②「総合事業生活援助サービス」(世田谷区の指定を受けた事業所のみ対応可)
支援内容が、主に家事代行の方へのサービスです。1回ごとの利用料金で、事業所への報酬は介護保険の生活援助3(加算無し)と同じで、今までの予防の月額料金よりは少し安くなります。
<総合事業の記録用紙について>
★個別支援計画書
今までの「予防訪問介護書」から変更になります。
名称混同を避けるために、「個別支援計画書」という名称にします。
特徴は、1枚の書式で「総合事業訪問介護サービス」と「総合事業生活援助サービス」のどちらも記載できるようになっています。そして、この二つのサービスは、制度上は併用可となっています。2つのサービスは、介護報酬が異なるので、それぞれのサービスの基準に適合した支援を行ってかどうかが、今後問われる事になってくると思います。そのため、2つのサービスの基本的な考え方を計画書に解るように記載しました。同封の計画書の見本を読んで下さい。(利用者さん各自の計画書は、利用者さんの記録の箱に入っています。初回サービス時等は、ヘルパーさんにもお見せしています。※不明な点は必ず事務所まで確認して下さい)
★サービス実施記録
サービス実施記録は、「総合事業訪問介護サービス」と「総合事業生活援助サービス」に分れる為に、それぞれのサービスの枠組みにあった記録用紙に変更します。どっちのサービスだったっけ?と解らなくなる事を防ぐ意味もあります。順次、総合事業が始まるヘルパーさんには、記録用紙を同封していきます。(総合事業の初回訪問時に、できるだけ同行して説明したいと考えています。)
今回は、サービス実施記録2種を両面印刷で見本を同封しています。ご確認ください。
今までの複写式のA5の1回で1枚記入の用紙(伝票方式)から、A4で10回のサービスまで記載できる用紙に変更しました。これよって、“紙”の多さの煩わしさは解消でると思います。ヘルパーさん2人の場合は、それぞれ別に自分の用紙に記入して下さい。
月末頃まで利用者宅に置いておいて、最終サービス日には回収するようにして下さい。※最終サービス日の回収を忘れないようにして下さい。その為には、月末の2回前くらいには、自分の荷物に移しておくと、回収忘れや急なキャンセルで回収不能になる事を防げると思います。※また、サービス実施記録の誤り記入や事後報告が多くて困っています。迷ったらその場からご連絡下さい。
2016年9月15日 2:05 PM | カテゴリー: 【紙ふうせんブログ】, 平成28年, 紙ふうせんだより