【紙ふうせんブログ】

平成28年

紙ふうせんだより 4月号 (2016/09/15)

皆様、いつもありがとうございます。これからはどんどん暑くなってくるので、水分補給には気を付けてくださいね。

新緑がまぶしいですね。街角にはたくさんの花が咲いています。ツバメも飛んできました。鳥たちは巣づくりに夢中です。曲がり角の先には、どんな草花や新しい風景がまっているのでしょうか。新しい季節がはじまっているのです。

新しい季節

ちょっと前は桜の季節でした。皆さんは桜を楽しく眺めることはできましたか? 農大横の千歳通りの桜のトンネルは、桜吹雪がきれいです。桜のトンネルで思い出されるのは、『赤毛のアン』(L・M・モンゴメリ)のリンゴの並木道です。

汽車でプリンスエドワード島に到着したアンは、これから先にどんな生活がやってくるのか、期待に胸を膨らませています。マシュウの馬車に乗ってリンゴの花のトンネルをくぐったアンは、感激のあまりその道を“歓喜の白路”と名付けるのです。そんなアンを変な子だと思いながらマシュウは、欲しかったのは仕事を手伝ってくれる男の子で、女の子のアンが来たのは何かの手違いだろうという事を言い出せずに困っていました。

人は、トンネルの先にはいつも希望を見出しています。しかし辛い経験を多くすると、トンネルの先には、闇が拡がっているかもしれないと考えます。アンはトンネルの先で絶望的な事を言われますが、マシュウやマリラと一緒に暮らす事になります。不安なのはアンもマシュウもマリラも同じです。アンの物語は、その“不安”を“未知との出会い”として楽しんだからこそ開かれていくのです。

何かを楽しみにして待つということ

新しい季節には不安はつきものです。そんな気持ちを吹き飛ばしてしまうアンのひたむきな言葉を紹介します。

「何かを楽しみにして待つということが、そのうれしいことの半分に当たるのよ。」

この言葉は、待たれている私達ヘルパーとしては、とても重いものです。来週もまたあのヘルパーさんが来てくれる。そう思うだけで一週間を楽しい気持ちで過ごせるのです。一方で、「年を取ったら何の楽しみもない。今後の不安ばかり」という方もいます。そのような方は、まだ来ない先のことばかり考えて、今を生きる事を忘れていると言えるのではないでしょうか。不安とは現在や過去の事ではなく、必ずまだ来ない事への悪い考えを伴っています。仕事など何らかの責任がある場合は、最悪の事態を想定して備えを怠らない事は必要ですが、現実の今を忘れて不安にのまれてしまっては、意味がありません。楽しく生きる秘訣は、今この瞬間を丁寧に大切に自分の心に入れていくというような、“今を生きる”という事ではないでしょうか。アンの言葉には今を楽しむ気持ちに溢れています。

「あしたがまだ何ひとつ失敗をしない新しい日だと思うと、うれしくない?」

 

曲がり角をまがった先に

ある利用者さんがいました。だんだんと歩けなくなり、やがてベットをいつも汚してしまうようになりました。介護環境から入所が検討され、ショートステイを試みる事になりました。ショートステイの初日、笑顔も見られ食事も召し上がり、うまくいくかと思われましたが、嘔吐してしまい施設から急遽自宅に戻されてしまいました。

その方は状態が悪化してからは、口数もますます少なくなり、認知症も悪化したように思われました。でもそうではなかったようです。きちんと自身の事を理解されていたようでした。介護環境と自身の関わりへの複雑な想いから、将来の在宅生活の不安が増して気分が塞ぎ込みましたが、かといって心の準備も無しに入所を望んでいたわけでもないのです。

言葉を発しなくなったからといって、何もかも解らなくなってしまったのではありません。

在宅に戻ってからヘルパーの訪問回数も増え、その方は無気力から脱しつつあり、汚してはしまうけれど一人でポータブルに行ったり自分で食事を摂るようになってきました。誰かが良く生きようとして力を発揮するところを見るのは、とても嬉しいものです。その上で、介護の専門家としてその方の生活を見ると身体的に改善する可能性が多くあり、食事もままならない現在の環境よりは、施設の方が可能性が拡がるのではないかとの話になりました。その方にショートステイの話を伝えると「なんとも言えないわね…」とつぶやいていました。

その方のベットの脇には「『赤毛のアン』と花子」がありました。この本は自分で買ったんですか? と伺うと、「誰かが持ってきたのかねぇ」とおっしゃるので、私は本を開いて終わりのほうのアンの言葉を読みあげました。

「いま曲がり角に来たのよ。曲がり角をまがった先に何があるのかは、わからないの。でも、きっといちばん良いものにちがいないと

思うの。それはまた、それのすてきに良いところがあると思うわ。

その方は静かに聞いた後、にっこりと笑って下さいました。

私達は、一人の人としては、誰かの人生にとって何が良い事であ

るとか悪いとか、本当は一つも言えません。私達にできる事は、そ

の時に考えられる最善の方向へと、手探りで進んでいこうとする努力だけです。思いがけず良くない結果になったとしても、それはその時のもので、全ての物語の結末ではありません。

「それはまた、それのすてきに良いところがあると思うわ。」と、ひたむきに一歩づつ進んでいけば、その先の物語は開かれていくのです。現れたものは「きっといちばんよいものにちがいない」と信じ、関わった方々のその先の幸せを祈っていきたいと思います。

『「赤毛のアン」と花子 ~翻訳者・村岡花子の物語~』村岡恵理・著

何よりも花子が若い読者に一番伝えたかったのは

「曲がり角をまがった先にもっと素晴らしい 景色が広がっている」

というアンの言葉。最愛のマシュウの死にあい、大学の進学をあきらめ、マリラのためにグリン・ゲイブルズを守りながら、学校の先生になる決心をしたときにアンが言う言葉です。

「いま曲がり角に来たのよ。曲がり角をまがったさきになにがあるかは、わからないの。でも、きっといちばん良いものにちがいないと思うの。それはまた、それのすてきに良いところがあると思うの。」

アンを心の友としている人は、きっとどんなときも希望を失わず、人生を良い方向に変えていくことができると花子は思っていました。

★震災時対応について①★

平成28年熊本地震で被害を受けられたみなさまに心よりお見舞い申しあげます。

4月のミーティングは、震災直後という事もあり、震災時の対応について話し合いました。そこで出てきたのは、行政も想定していない震災の実情です。

1:熊本地震

大きな本震を1回と想定。15日に政府が「全避難者の屋内避難」の方針を打ち出したことに対し、県知事は「避難所が足りなくてみなさんがあそこに出たわけではない。余震が怖くて部屋の中にいられないから出たんだ。現場の気持ちが分かっていない」と反発。

障害者や要介護高齢者が被災した場合に施設へ避難入所する“福祉避難所”の協定を県内176施設と結んでおり、1700名の定員があった。

NHKラジオでは強く屋内で夜を過ごすことを勧めた。しかし度重なる余震で室内はぐちゃぐちゃ。

気象庁は「今後1週間ほどは震度6弱程度の余震に注意が必要」と繰り返す。

16日の本震ではさらに被害が拡大した。

福祉避難所が実際に開設できたのは34施設のみで104名の受け入れしかできていない(4/25朝日新聞)。介護職員も被災して出勤不能になっているケースもあると思われる。

2:世田谷区で直下型起こった場合の想定

備蓄食料等も少なく、地域の方が避難所に皆やってきたら対応しきれない。倒壊などで自宅に住めなくなった方以外は「自宅避難」を呼びかけている。救護所も設置されるが、対応しきれない事が想定される。命に係わるような方を中心に対応する(トリアージ)するので、骨折程度の方は、救護所に来ても手当は期待できない。要介護高齢者や障害者の為に、区内の施設も“福祉避難所”の協定を結んでいるが、各施設とも数名程度の受け入れ枠しかなく、よっぽどの方でないと施設避難はできない。基本的には、要介護者も引き続き自宅で対応して欲しい。福祉避難所は勝手に行っても入れません。入所の調整は区が行います。

・度重なる余震で室内がぐちゃぐちゃになった場合は、余震が本当に落ち着くまでは室内に入れないのではないか?多くの方の自宅はそのようになるのではないか?その時避難所は足りるのか?

・認知症の方など、混乱してしまい手厚い見守りが必要になるかもしれないが、在宅継続は本当に可能なのか?

・福祉関係の事業所も、職員が被災して出勤不能者がでれば、既存の方への対応だけでも手が足りない事になる。それ以上の臨時対応は難しいのでは。

福祉施設自体も被災するのではないか?

・倒壊家屋や火災で道路が通行不能となれば、安否確認も難しいのではないか?

このように見ていくと現在も行政の想定は、震度6~7が複数回起こり、あちこちで家屋が倒壊し火災が発生しライフラインが寸断され、広範囲に被災した場合(阪神淡路大震災の被害がもっと広範囲のイメージ)は“想定外”となってしまいかねません。

紙ふうせんでも、震災時対応をしっかりと考えていきたいと思っていますが、その為には、災害のレベルを、東日本大震災の時の東京の揺れよりも少々強い程度から破滅的状況まで、3段階くらいに分けて検討する必要があると思っています。いずれにしても、どんな事になっても落ち着いていられるように、ヘルパーの皆様自身と自宅等の備えを、しっかりとご検討下さい

 


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