【紙ふうせんブログ】

平成28年

紙ふうせんだより 5月号 (2016/09/15)

皆様、いつもありがとうございます。雨の降りかたがだんだん梅雨みたくなってきましたね。長雨の季節はだしっぱなしの食品のカビや腐敗などに注意しましょう。食中毒(急性の胃腸炎)の危険性も高まります。手洗い等を積極的に行って下さい。

障害者の権利に関する条約

さて、平成28年4月1日から「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)施行された事はご存じでしょうか。この法律の前提となっているのは、2006年12月に国連総会にて採択された「障害者の権利に関する条約」(以下、条約)という国際条約です。ここに至るまでの人権や差別に関する歴史的背景は、26年9月号の紙ふうせんだよりを読んで頂きたいのですが、この条約を批准する条件として、具体的な国内法の整備などがありました。日本は国内法の水準が国際条約を満たしていないために、2011年「障害者基本法」改正、2013年「障害者差別解消法」成立という法整備のもと、2014年1月20日にようやく140番目の条約批准国となりました。(国連加盟国は193か国)

(条約 第2条)「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
この条約の要は、障害者への「合理的配慮の否定」を「差別」と位置づけているところでしょう。簡単に説明すると、健常者が普通にできている事を同じように障害者も行えるように環境や設備の整備をしなければ、それは「差別」にあたるという事です。先日、電動車椅子利用の脳性マヒの方が、紙ふうせんの事業所の門の前で、社員に用事がありつつも声をかけられずにしばらく待たれており、遅れて私が顔を出すと「福祉やってる会社なんだからさ~、インターホンとかつけたらいいんじゃないの~」と冗談交じりにおっしゃっていました。その方の言われる事はもっともで、インターホンをつける等の配慮を怠り続けると、それは「差別」と定義されるのです。このような「差別」は、実はいたるところであります。それらについて、東洋大学経済学部教授の山田肇氏は自身のブログで「障害者権利条約は人権条約である。障害者の人権は、今まで必ずしも守られていなかった。」とした上で、「障害者権利条約の批准は、このように障害者に大きくプラスに働くだろう。またそれは、高齢化に伴って身体機能に低下が進むことが多い高齢者にも役立つだろう。」としています。

障害者に対する差別の具体例

山田肇氏は、参政権を例に差別の実例を説明しています。(以下の囲みはブログより引用)

投票所入場券が郵送されてきても視覚障害者には内容が伝わらず、代読をヘルパーに頼もうとしても、週に一度しか来ないなどの事情で、投票日が過ぎてしまう事態も起きていた。投票所の場所がわかりづらかったり、点字ブロックがなかったりもした。視覚障害者は代理投票の際、声で候補者名・政党名を言うことになるが、その声が遮蔽されないため、投票の秘密が守れなかった。総務省が公表する候補者名簿が画像PDFで音声読み上げできないという問題も参議院選挙で起きた。

投票所に車いすで入れるかわからなかったりなど、投票所入場券には基本的情報の提供が欠けている。投票用紙の記入台の高さは、普通人が立って記入することしか想定しておらず、車いす利用者や長時間立ち続けるのが困難な高齢者などは、投票用紙に記入できない。

街頭演説という候補者にじかに触れる機会を、手話通訳が禁止されているので、聴覚障害者は利用できない。一般的な手話通訳に比べ特異性(時事単語への対応、公職選挙法の知識等)があるので、政見放送や街頭演説に特化した手話通訳士の養成も必要だが、まったく取り上げられていない。

このように障害者の参政権は、社会の側に配慮が欠如していたために、制限されていた。ましてや障害者が立候補するなど、立候補手続きのバリアフリー化や政見放送での代理人による演説などを進めない限り、不可能に近かった。しかし、条約を批准した以上、これからは選挙権・被選挙権に関わる差別は許されない。

これらを見ると、差別をしようとしている意図が全く無かったとしても、結果として「差別」が生じていたという事実が理解できると思います。条約が画期的なのは、合理的配慮を欠く事により障害者が普通の人と同じように生活する権利を侵害されるという、“制度化されていない陰の差別”をも、差別解消法などを制度化する事によって、解決していこうとする志の高さです。障害のある方にとってどんな社会的障壁があるのか、パラリンピック・オリンピックを控えている今こそ、社会全体で考えていく必要があるでしょう。

どんな人も生活しやすい社会を目指して

障害者基本法では、「障害者」の定義を『身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。』としている。社会になじめずに生きづらさを抱えている発達障害も定義に入っていますし、「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」という表現は、要介護高齢者なども該当するでしょう。幅広く理解されるようになった「障害」に対して社会の側が合理的配慮を行うようになれば、障害の有無の区別なく、どんな人も生活しやすい優しい社会となるでしょう。「“障害者だから”特別あつかい」は時代遅れのイメージなのです。

これまで「障害」という困難は、障害者自身の心身機能(病気等)が原因と考えられてきましたが(医学モデル)、条約等の理念は、「障害」の真の原因はさまざまな機能障害をもった人がいるという事を考えないで作られた社会の仕組み(社会的障壁)こそが、「障害」の原因としています(社会モデル)。この考え方が明確になったのは、1975年の国連「障害者の権利宣言」ですが、40年を経てついに解決を目指す義務が国際標準となったのです。

現在、紙ふうせんでは障害手帳をお持ちの方が一名、移動支援のヘルパーとして活躍しています。仕事(社会参加)をしていく中での困難さは、障害手帳の有無にかかわらず人それぞれあるでしょう。改善や成長してゆく一人一人の努力も必要でしょう。しかし私としては、合理的配慮を努力し、どんな人でも自分の力を発揮できる働き甲斐のある、働き易い事業所を目指していきたいと思います。

★震災時対応について②★

震災時対応を想定するとしても、震災の被害が想定されないと、対応を考えにくいというところまでが前回の話でした。今回はその対応のイメージを掴むべく書いてみました。

1:日本大震災の時の東京の揺れよりも少々強い程度

・被害想定

日本は今、地震の活動期に入っています。今後地震が予想される活断層としては、立川断層(世田谷区は震度6予想)や三浦断層帯などがあり、活断層から離れた世田谷区もかなりの揺れとなるでしょう。ただ、世田谷区は活断層の直上ではないため、世田谷区では倒壊家屋は多くないと考えられます。被害は家屋の一部損壊や、家具転倒などが考えられます。電話線の寸断は無くとも、回線利用が制限される事から、電話は非常につながりにくくなると思われます。

・訪問介護の対応

訪問予定の利用者宅は、安否確認を含め全て訪問したいです。ただ、効率良く安全に訪問する為にも、命に関わらない不急のサービスは時間短縮する事も考えられます。訪問すると、転倒や転落物によりしてケガをしている利用者を発見する事もあるでしょう。救急車要請をしたり、割れたガラスなどの片付けも必要です。入浴や外出などの身体介護を、共に行う片付けや移動・移乗等の介助に振替えて、介護保険の支援として記録します。家事代行の場合は、ガラスの片付けはそのまま掃除の記録で良いでしょう。食料の在庫が多い方の買物代行は割愛しても良いかもしれませんが、在庫の少ない方は、プランに無くとも買物代行を行う必要もあるかもしれません。なお、救急車には同乗しません。大切な情報は必ず事業所へ報告です。電話が通じなければ業務終了後には必ず事業所へ直接報告に来て欲しいと思います。連携がとれなくても、震災翌日の訪問先は基本的には予定通りです。

 

2:首都直下型地震

・被害想定

フィリピン海プレートと北米プレートの境界の地震の地震が想定され、東日本大震災と同じプレート境界型のため震源域は広く、内閣府の想定モデルでは、東京湾北部を震源とするM7.3の地震では、世田谷区は震度6予想です。広域での家屋倒壊が見込まれ、世田谷区で一番心配されるのは時間帯によっては火災の発生と延焼です。木造密集市街地(環6、環7沿い)の焼失が顕著であると想定されています。

・訪問介護の対応

余震が多くなく、目立った倒壊家屋がなければ、対応は上記と同じですが、ライフラインは寸断されると思われます。室内が入れないくらいのぐちゃぐちゃな様子になってしまえば、一部の方は避難所に誘導する必要がでてくるかもしれません。初動体制としての訪問介護はさらに効率的に、安否確認を中心に行います。印は無くても良いので、記録は日時・時間だけでもつけたいものですが、メモでも構いません。世田谷区が区内の事業所に求めているのも安否確認体制への協力です。災害伝言ダイヤルを逐一活用しましょう。移動時は崩れかけた建物や壁の近くは避けましょう。そして付近で火の手が見える場合は安否確認活動も中止せざるをえません。ヘルパーさんも一時避難所(付近の学校の校庭など)に行くなどし身の安全を図りましょう。家屋倒壊がなくても、電気ガス水道が止まれば、要介護高齢者の在宅支援は見直しが必要になってきますが、それは初動の安否確認の後の対応です。そのような方は、親族を頼って被災地域外へ疎開するのが現実的だと思われます。親族の無い独居の方への対応は継続する必要がありますが、人数は多くはありません。事業所は速やかな業務再開への連携を目指し、伝言ダイヤルに指示等を録音します。電話が通じるまでは各ヘルパーさんの自主的な活動が必要です

 

3:想定外状況(破滅的状況)

・被害想定

世田谷区内でも震度6~7が複数回起こり、あちこちで家屋が倒壊し火災が発生しライフラインが寸断され、広範囲に被災した場合。

いたるところで道路に亀裂や陥没が発生し、倒壊家屋のがれきで通行も困難です。きな臭い匂いがし、煙があがっているのが見えます。

プレート境界型の震源が、想定よりずれて世田谷区が震源直上であったり、世田谷区内で未知の活断層が動いたり等…。(現在国内に活断層は、2000以上あると言われていますが、未知のものはその3倍以上あると言われています)

電話は不通になり災害伝言ダイヤルも機能していません。

・訪問介護の対応

まずは自分自身の身を守る事が第一です。ヘルパーさん自身も被災者となっています。こうなると安否確認活動もできません。業務は中止ですがたまたま近くに利用者宅があった場合は様子を見る事は必要でしょう。しかし、周辺のがれきから助けを求める声が聞こえれば、そこに向かうべきです。今いるところで精一杯の人としての行動をする。利用者宅に訪問できなくても、自分と同じように近所の誰かが救助活動をしてくれている事を信じて、目の前の事に全力を注ぎます。しかし火の手が上がったら速やかに一時避難所に向かいます。自己犠牲ではなく生き延びた自分自身を震災復興にどう役立てるか考えましょう。避難所では、被災者として悲嘆に暮れて受け身になるのではなく、日頃の介護活動の精神性を活かし、自立した被災者として積極的に避難所開設等に協力しましょう。身辺が落ち着いたら事業所へ向かって下さい。また、気になる独居の利用者の情報収集も行いたいところです。社員も出勤不可能かもしれませんが、事業所の壁などに自分が確認した安否情報や自分の避難先などを書いた紙を貼るなどして、復興へ向けてのできる事を開始します。心の中に希望の灯をともしましょう。

マニュアルとして具体化するにはもっと掘り下げる必要がありますが、細かくマニュアル化していくと結局は現実と乖離するでしょう。今後は社員の対応も検討していかなければなりません。

 


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