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紙ふうせんだより 7月号 (2016/09/15)

皆様、いつもありがとうございます。なんとなく涼しい日もありますが、熱中症にはくれぐれもご注意ください。

ヘルパーさん自身の熱中症にご用心

まずは、ヘルパーの皆さん自身の水分補給を欠かさないようにお願いします。入浴介助を行った時は汗をたくさんかいていると思います。そのまま放置すると脱水症状となりますが、脱水の怖いところは「だるくなって、やる気がなくなる」「ぼんやりとしてしまって、思考が鈍る」事です。ヘルパーさんが炎天下に帰宅して、だるくってコップ1杯の麦茶を飲んで寝てしまった。その後目が覚めても、疲れが抜けず夕食を抜いてそのまま寝てしまった…。単なる“疲れ”であれば、1食抜いても寝て休めば治ります。しかしこの“疲れ”が脱水に起因するものであれば、寝てる間にも症状は進行します。そして、お茶などの摂取が決して多くなくても食事から補給される水分量は多いわけですから、食事を抜いた事による脱水の悪化は避けられません。翌朝、「もっとだるくなっている」「なんとなく手足がツルような、痺れるような感じがする」にもかかわらず、「頭がぼんやりとして身体の危険信号に注意を払えなくなって」無理して仕事に出かけてしまった……。その結果、訪問している最中に、「頭が痛くなった」「吐き気がする」「めまいがする」等となってしまったら、“アウト”です。すぐに病院に行く必要があります。そうならないように、思考力が鈍る前に、日頃の用心が大切です。

高齢者の熱中症の危険性

熱中症は若い人でも起こり得ます。「いわんや高齢者をや」です。高齢者は、若い人よりも体内の水分量が少なく体力もありません。食事量が少ない方はなおさらです。さらに、温度への感受性が鈍り、暑さをきちんと認識できない方もいるでしょう。高齢者は誰でも熱中症の危険性があると考えて差支えありません。

なかには「昔は、熱中症なんて言葉はなかった。軟弱な人が増えてでてきた病気だ」とか「俺は海軍で機関士をしていて裸で作業していたんだ。このぐらいの暑さなんか大した事ない」と言われる方もいます。そのような方は、さらに危険が増すでしょう。

一般に、身体の融通がきかなくなった高齢者ほど、自分自身の生活スタイルを変えたがらない傾向にあります。年を重ねるに従い「目がかすんできた」「膝が痛くて立ち上がりにくい」「腰が痛むので休み休み歩く」等となってきた場合、日常生活の範囲は狭まってきます。もちろん金銭的にも狭くなってくる方も多いでしょう。そこを何とか自分で工夫しながら活動するのですから、今までと違ったやり方や新しいものを選択する事には、抵抗感が生じてきて当然でしょう。この抵抗感も、“身体の危険信号” に対して、注意を払えない重要な要素になります。くれぐれも、熱中症への注意は怠らないようにしたいと思います。

注意喚起を促すヘルパーさんの位置づけ

さて、私たちヘルパーの注意喚起の役割は、なにも熱中症に限った事ではありません。転倒の注意や、身体能力の低下、家族関係や悪徳商法等々、さまざまあります。注意を促す必要のある状況において、しかし利用者さんからは「大丈夫だからほっといてくれ」というような態度が出る場合があります。ヘルパーさんとしてはそれ以上踏み込んだ発言は出来ないので、危険性は会社に連絡し、後はケアマネやサ責・家族に対応して貰いたいと考えるところでしょう。基本的にはそれで問題無いのですが、そのような場面の時に、ヘルパーさんが状況を打開し変化のきっかけを作る不思議な役割を担う事があります。ユング心理学(“元型心理学”)でいうところの“トリックスター”というものです。

状況を変化させるトリックスターの出現

ユング心理学では、個人の心の底流や芸術や宗教や文化の奥底には、太古より受け継がれつつ形成されてきた無意識的な力(元型)があり、それらは似たパターン(働きやイメージ)をもって現れてくると考えられています。そのパターンの一つとしての “膠着状態にある硬直化した関係性を打ち壊すもの”に対して、ユングは神話や昔話の言葉を援用し“トリックスター”と名づけています。

家族との関係性が悪い利用者さんがいたとします。その利用者さんは家族のアドバイスも受け入れず、「ほっといてくれ」という態度をとっていました。しかしある時、転倒してしまい、一人ではどうにもならない状況になってしまいました。しかしこの転倒によって、ご本人や家族が改めて家族関係と向き合う必要が生まれ、入院中の世話を通して家族の気持ちもご本人の気持ちも共に理解され、わだかまりが解消し安定した在宅生活に移行できたとします。この時の「転倒」というトラブルは、トリックスターの働きをもっていたと言えます。

また、要介護状態の自分に苛立ちがあり、訪問するヘルパーさんに無自覚的に苛立ちをぶつけていた方がいたとします。ヘルパーさんとしても気持ちよく仕事ができる訳ではないので、重たい気持ちで訪問していました。その為か、ヘルパーさんが利用者さんへのサービスでミスをして利用者さんと言い合いになってしまい、クレームになったとします。しかし、ヘルパー交代と同時にサービス内容を見直し、その事について全体で話し合いを行ったところ、利用者さん自身の苛立ちも和らいで、落ち着いて生活できるようになったとします。

これらのトラブルや言い合いをしたヘルパーさんはトリックスターの表れと考えられます。変化を求める無意識の力が高まり、周囲の人の心とも共鳴しながらトリックスターを呼び込んだのです。“トリックスター”は状況に“いたずら”や“トラブル”を巻き起こしながら、“瓢箪から駒が出る”ような解決の導きをもたらすのです。

変化が求められるときに自覚しておきたい事

物事には常に両面的な価値があります。“トリックスター”は、“変化”の原動力となるけれども、反面“破壊”も生じます。変化を二元論的に言えば、それは“良く変わる”か“悪く変わる”かのどちらかです。そして、要介護状態とは、人生に変化の季節が訪れた場面でもあります。その場面に立たされた利用者さんや家族やヘルパーさんは、変化を促す風にさらされています。しかし、利用者さんや家族が自ら変化のきっかけを作れない場合、変化のきっかけ作りは、第三者のヘルパーさんに無意識的に託される事になります。その時、知らず知らずにヘルパーさんが、自ら“トリックスター”を演じる状況になってしまう事があるのです。

このような事が訪問介護の現場には生じてくるのですから、ヘルパーさんがその役回りを自覚的に行うか無自覚的に行うかによっては、結果には大きな差が出てきます。“良く変わる”か“悪く変わる”かです。そうであれば、単に介護をするだけでなく、介護を通しながら、「この利用者さんには○○になってもらいたいな」また、「自分自身は、介護を通して○○になっていきたいな」というような、願いや希望を強く持って頂きたいと思います。私たちは、介護の現場で「人は何歳になっても、どんな状況になっても、良く変わっていく力を持っている」という事を目の当たりにします。目の前の利用者さんが変化してゆく時は、変化の風は自分にも吹いています。目の前の利用者さんとの関わりが上手くいかなかった時こそ、この利用者さんは、自分自身にとっての“トリックスター”なのではないかと考えみる事によって、私たち自身も良く変わっていくきっかけを掴んでいきたいと思います。また同様に、現場でトラブルが生じた時こそ事業所が良く変わっていくきっかけなんだと考えています。


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