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【紙ふうせんブログ】
紙ふうせんだより 9月号 (2019/10/31)
転換点はどこにあるのか
ヘルパーの皆様、いつもありがとうございます。気が付けば夜道では秋の虫が鳴いています。9月5日に千葉県に上陸した台風15号は甚大な被害がありました。皆様が少しでも早く生活再建ができる事を祈っています。災害に乗じてインターネットでは関東大震災を模倣した悪質なデマが流されました。「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいる」というものです。同様のデマは熊本地震の時にもありました。これは冗談では許されない人権問題です。また、関東大震災で一体何があったのかを知れば見過ごす事はできません。関東大震の事件は周辺諸国への差別感情を増幅させて日本を戦争への入り口に立たせたのです。
日常的な差別感情がヘイトクライムに発展し、日本は正常な判断能力を失った
「その時私は6歳で中野に住んでいたんだけど、友達の家にいたら凄く揺れて、そこのお父さんが必死にタンスを押えてた。」今年で102歳になる利用者さんの思い出です。
1923年9月1日11時58分、相模湾海底で蓄積したプレートの歪みが一気に放出された。地球規模で見れば僅かな身震いだが近くには大都市があった。倒壊した建物からの火災はなすすべなく東京市内の64%の家屋が焼失、死者は10万とも14万人とも言われている。大災害は人々の心に鬱積している歪みをも一気に放出させる。不安と混乱が群集心理に火をつけた。「不逞朝鮮人が暴徒化、井戸に毒を入れ放火して回っている」等のデマが拡がり、新聞がフェイク記事を拡散。各地で自警団が組織されて警察や軍人も加わり、道行く人に「十五円五十銭」や「ガギグゲゴ」を言わせ、うまく言えない人を朝鮮人として数千人以上を殺害。知的障害者や聾唖者や中国人も多数殺害された。混乱に乗じて、民主化を要求する社会主義や労働運動や婦人解放運動の活動家を憲兵や警察が組織的に連行して10数名を私的に処刑する事件(甘粕事件・亀戸事件)も起きた。自警団で処罰された者は無く、誰が何の目的でデマを流したのか不明のまま政府は情報統制や検閲で虐殺の事実を闇に葬った。
日本は民主主義の終わりと戦争の入り口に立っていた。第一世界大戦後の不景気にあって米騒動があり、大正デモクラシーの民権運動や労働運動は高揚、対抗して右派も勢力を伸ばして社会は対立に揺れていた。植民地支配していた朝鮮では、日本の友好国として平和的な独立を目指した3.1独立運動が起こったが、日本側は7500名以上の朝鮮人を虐殺して弾圧。新聞は「不逞朝鮮人の暴動」と決めつけ差別を煽った。“平民宰相”が暗殺され社会不安が増大する中で大震災が起きた。命がけで朝鮮人への襲撃を止めた警察官がいた一方で、軍や警察もデマを流した。不安と混乱は強権政治を呼び込み震災直後に発布された「治安維持ノ為ニスル罰則ニ関スル件」は悪名高き治安維持法の前身となる。日本は、震災後の金融政策の失敗から金融恐慌となり世界恐慌に呑み込まれ、不景気の打開策を「日(※)本の生命線 満蒙」として海外利権獲得に求めた。1931年9月18日、陸軍が独断で南満州鉄道を爆破して中国への侵略(満州事変)を開始。以後、1945年の敗戦まで日本は戦争漬けとなっていく。
米騒動1918、3.1独立運動1919、国際連盟発足1920、原敬暗殺1921、治安維持法1925、世界恐慌1929、満州国建国1932
※1931.1に松岡洋右(当時野党)が発言し流行語に。松岡は1933年外相として参加した国際連盟で脱退を表明。
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無自覚さは、失敗を自覚できない。
私たちが関わっている利用者さんの多くの中核的な体験となっている“大東亜戦争”に至る淵源を大正末期までたどってみました。無自覚に差別に加担した人々は、近隣諸国民を蔑視するこの道がやがて泥沼の侵略戦争となり敗戦に至る亡国の道だという事を、どれ程理解していたでしょうか。「水は低きに流れ、人は易きに流れる」という格言があります。「易きに流れる」という人の持つ無自覚さが、人を低きに導くのです。人は、自分にとって気持ちのいい方向を望みながら、気が付けば「何で気が付かなかったんだ」という後悔の中に立ちすくみます。その時になって「一体何が悪かったんだ」と考えてみても、昔の出来事は、様々な要因と結びついていて明確な事が言えなくなっています。だからと言って、「想定外だった」「仕方がなかった」「気が付かなっかた」では何の反省にもならず、失敗から学ぶことはできません。失敗を自覚できていないからです。自戒を持って私はこの文章を書いていますが、例えば小学生が夏休みの最終日に残された宿題の山に泣きながら取り組むという事も、「早くやっておけば良かった」と結果論的には思いますが、一つだけの直接的な原因となる事象というものはありません。その気になれば、いつの段階でも流れを切り替えて宿題を開始する事が可能だったからです。しかしできなかった。「いつでもできる」という自分の慢心と、慢心に対する無自覚さが、自分をそうさせてしまったのです。
悪くなっていく 良くなっていく、その転換点はどこにあるのか
低きに流れる方向づけは、自然と気が付きにくい形でやってきます。昔の人は「油断大敵」と言って、注意を少しでも怠れば思わぬ失敗を招くから、十分に気をつけるべきであると戒めていました。一方で、高きに流れを変えていく転換点は、自然には絶対にやってきません。自覚と決意が無ければ転換点は作れないのです。逆に言えば、深い自覚と固い決意があれば、どんな状況からでも転換点を作る事が出来るのではないでしょうか。
介護に即して考えてみましょう。ヘルパーさんや利用者さんがお互いに、いつものケアを楽な方法でいつもの様に続けて行けば、そこに漫然としたものがある限り、気が付けば利用者さんのADLは必ず低下しています。「高齢だから仕方がない」と言ってしまう事は容易です。しかし介護とは、ADLや活動性が低下した人に対応する事が前提です。意欲の低い方や理解の乏しい方、年齢から諦めているような方に対しても、自立への転換点を作っていくために「何ができるのか?」が、最初から問われているのです。そして、介護の専門職の私達のとる態度が、利用者さんにとってどんな意味を持つのか常に自覚的でありたいと思います。
その後の日本について
満州事変以後、「万機(ばんき)公論に決すべし」という理念をかなぐり捨てて日本は強権政治をますます強めていきます。政府は「非常時」や「国難」を叫び、話し合いによる合意形成を軽んじました。その結果、問答無用の強固な主張が正論とされ、総理直属の総力戦研究所が日米戦争「日本必敗」のシュミレーション結果を示したにも関わらず開戦を決断してしまいます。
満州事変の年に生まれた利用者さんは先日、ヘイトスピーチが増えている状況等を踏まえ、「憲法改正したがる安倍さんは、戦争したがっているのではないか?」と呟いていました。戦時中を知る人の言葉として重く受け止め、怠りなく注意を向けていきたいと思います。
吉野作造の1923年10月末の聞き取りでは2613人の朝鮮人の殺害が記録され、世田谷区では三軒茶屋で2名のみとなっている。しかし千歳烏山では13名の朝鮮人が暴行され1名が殺害されている。起訴されたが放免となった自警団の12名を労って植樹された12本の椎の木が烏山神社に現存している。朝鮮人の殺害は6000人を超えるという研究もある。
政府によって徹底的に隠蔽された「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の真相 (現代ビジネス)西崎 雅夫 多くの朝鮮人や中国人が虐殺された。その数は数千人とも言われているが、実際に何人の方が犠牲になったのか、じつは震災から93年がたった現在でも詳細はわかっていない。 その要因のひとつとして、当時の政府の徹底した事実の隠蔽があげられる。 次の2つの証言を見比べてもらいたい。当時尋常小学校5年生の生徒が、震災直後に書いた作文である。 「3日に伯母さんから「朝鮮人が火をつけて歩く」というお話をきいて僕は驚いた。するとその夜「わっ」というさわぎがあちこちから起こり、同時に「ぢゃんぢゃん」と半鐘が鳴り出した。間もなく「ずどん」とピストルの音がした」 「3日に伯母さんから「しっ火がある」というお話をきいて僕は驚いた。するとその夜「わあっ」というさわぎがあちこちから起こり、同時に「ぢゃんぢゃん」と半鐘が鳴り出した。間もなく「どしん」となにか崩るる音がした」 上が元の作文、下が検閲後に発行された作文集『子供の震災記』に所収された作文である。 |
へイトスピーチ対策法 2014年、日本はヘイトスピーチ(外国人や外国出身者への人種的偏見や差別助長・憎悪表現)を野放しにしていると国連より是正勧告を受けた。オリンピックのホスト国になる事もあり、「ヘイトスピーチ対策法」(通称)が、日本に居住している外国出身者やその子孫に対する差別意識を助長・誘発し、地域社会から排除することを扇動するような言動の解消に取り組むことを定めた法律として2016年に施行された。しかし2018年に国連人種差別撤廃委員会は、対策法を施行した後もヘイトスピーチがなくならない現状に懸念を表明し、対策が限定的で不十分だと日本に対して4度目の勧告を行っている。 法務省のHPには、『平成29年10月に実施された「人権擁護に関する世論調査」における「あなたは,ヘイトスピーチを伴うデモ、集会、街宣活動等を知っていますか。」という設問に対して、「知らない」と回答した方は42.6%に上りました。違いを認め合い、互いの人権を尊重し合う社会をともに築くためにも、まずは「ヘイトスピーチ」について知っていただくことが大切です。』とある。 |
今、アメリカでは銃乱射などのヘイトクライム(人種や民族に起因する憎悪犯罪)が年々増加している。イギリスでも人種に基づく子供のいじめが激増している。ニュージーランドで白人至上主義による銃乱射49人殺害事件が起きたのは今年だ。これらの潮流は、9.11テロ以降、憎悪に対する憎悪による応酬が始まってしまったのと、大国が覇権主義に偏り自己中心的な世界観を是としはじめている事などの影響が考えられる。日本でもヘイトデモが頻発している。お笑い芸人では、Aマッソが「大坂なおみに必要なものは? 漂白剤!」とやってみたり、金属バットが「黒人が触ったもの座れるか!」など差別ネタを“笑い”や“楽しい”事だと勘違いする不見識さを披露している。日本にも無自覚な差別が蔓延している状況がうかがえる。来年は東京オリンピックで多くの外国人が訪れる。厳重警備の緊張状態の中に「〇〇人がテロを企てている」などのデマが投げ込まれれば、ヘイトクライムが起きてもおかしくない。人権や人間の尊厳に関わる福祉職としても、差別に対しては迎合しない毅然たる態度を持ちたいと思う。 |
出勤簿は、お手数ですが「時系列順」に記入をお願いします。 事務所に来られた時は都度、実施記録の提出をお願いいたします。 |
稼働手当を支給します!!
特定処遇改善加算Ⅰを紙ふうせんは取得する事になりました。
「経験・技能のある介護職員」に、重点的に支給する加算という観点から、紙ふうせんではヘルパーさんには
稼働時間に応じて支給額を増額する事にしました。稼働時間が多いヘルパーさんは、経験を蓄積し技能を高めていっていると考えられるからです。そのため支給条件は二つあり、介護保険と総合事業の月間稼働時間が所定の時間を超えた者(経験)であり、かつ年間を通して4回以上ヘルパーミーティングや研修会等に参加した者(技能)とします。(今年度の支給は、急遽という事もあり残りの半年間で2回以上の参加で可とします。今後、稼働手当の支給を受けていきたいという方は、ヘルパーミーティング等に積極的に参加して下さい。)
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※稼働時間の実績が非該当のヘルパーさんにも、年1回の一時金支給には、「特処手当」を若干上乗せして支給します。
【災害時対応のケアプラン上の位置づけ~世田谷区への質問~】
「災害が起こった際に、利用者の安否確認を行い必要があれば“落下物の片付け”“安全なところへの移動介助”“食料の買い出し”などを臨時対応として行われると考えるが、それらを介護保険(訪問介護)で算定できるか。またその為に必要な事(ケアプランへの明記・内容等)は何か、具体的にご教示して下さい」と質問したところ、回答は「臨時対応は介護保険で算定できる。但し安否確認のみでは不可で、“何か”を行えば可。しかし“救助活動(と判断される記録)”は不可。ケアプランへの災害時対応の明記は望ましいが、無くても算定できる」との事でした。ケアプランへの明記は取り組んでいきたいところです。
梅丘・祖師谷合同ヘルパーミーティング 10月18日(金)18:30~ |
~ヘルパーミーティングのお知らせ~ (内容)利用者さんの状況等・支援計画の変更の必要性の有無 今月の議題・伝達事項 ★ミーティングと研修会を同時開催 会議参加手当(ミーティング)は1回につき1370円です。 |
【研修】虐待防止のためにできること (斉藤) |
2019年10月31日 2:10 PM | カテゴリー: 【紙ふうせんブログ】
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