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平成26年

平成26年2月 紙ふうせんだより (2014/04/23)

まもなく3月11日です。3年という節目です。今、紙ふうせんにおられるヘルパーの皆様は、3年前もヘルパーをされていました。今、皆様が社会情勢の変化や体のガタにもひるむ事なく、ヘルパーを継続されている事は、とても素晴らしく立派です。皆様はこの3年間はどんな想いを越えてこられたでしょうか。

 

私は、あの日とその後に報道され続ける惨状に「これで日本が変らなかったらウソだ。どれだけ多くの人が生の営みを強引に絶たれたり、改変を余儀なくされたのにもかかわらず自分がのうのうと生き、その後の自分は“何も変わらなかった”では済まされない。自分自身も変わらなかったらウソだ」と思ってきました。「変わる」と言えば、かつては原発推進論者であった事を問われた小泉元総理が、「人間は変わるものです」と言っていましたね。

 

私達が関わっている要介護高齢者や認知症の方々なども、人生の変化を余儀なくされています。彼らは、時に変化を拒み悪あがきし、私達もそれに振り回されます。私達は、時に俳優となりピエロとなり、歯噛みしながら踊らされたり空回りしながら、彼らの生き抜いてきた城であり舞台である自宅にあがり、人生劇場の重要な登場人物となっていくのです。

 

それらをちょっと遠くから眺めてみましょう。設定はカンフー映画としましょう。ある若者が強くなりたくて、仙人のような(半分死にかけたような)老師の元へ、弟子入りを志願します。はじめは相手にされませんが、どうやら日々老師の元へ通う事は構わないようです。しかし老師は若者を小馬鹿にし、からかい嘲ります。若者はムキになって老師を追いかけますが、したたかな老師はなかなか捕まえられません。こんな事では修行にならないし、何も始まっていないと若者が思っているうちに、いつの間にか若者は強くなっていました。振り回され追いかけるうちに、若者は成長していたのです。このようなイメージが湧き上がってくるような出会いがあります。世の仕事は多かれど、他人の人生に参加させて貰えるような仕事はなかなかありません。人生の変化に私達も参加させて貰っているうちに、いつの間にか私達の心の奥底でも、変化は起こっているのです。(オチとして、実は老師はただ戯れていただけだったり、本当に呆けていただけなのかもしれませんがね。)

 

変わるという事は、二つに分けて考える事ができます。一つは、立ち位置が変化するとか移動するとか、見た目が変わるなどの水平軸の変化です。もう一つは、自分の今いる場所や環境や状況は変わらないけれど、目に見えにくいものではあるが、心が深まったというような、垂直軸の変化であり、これは深化とも呼べます。どちらが重要かといえば、垂直軸の変化でしょう。見た目は変わらないしょぼくれたままの自分ではあるが、あの日あの時から心の中に赤々とした火が燃えているという経験は、困難を乗り越えていこうとする心に起こるものです。そのような時には、周囲の景色も今までと違ったものとして瞳に映ります。

 

私達の舞台は世界ではないし金メダルも貰えませんが、人の心を舞台として最高の自分をめざして、日々自分自身を深めてまいりましょう。


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