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紙ふうせんだより

紙ふうせんだより 4月号 (2017/09/20)

皆様、いつもありがとうございます。桜が散ったら急に暑くなってきましたね。まずはヘルパーさん自身の脱水に気を付けて下さい。体が暑さや日差しに慣れていませんので、自分自身の体調に注意を払って下さい。

また、利用者さんの脱水も要注意です。まだ分厚い冬用の布団のままで寝ている方はいませんか。寝ている間も汗をかきます。起床時の一杯の水分補給を声掛けてください。また、寝具の入れ替えを促す事も必要です。寝具の入れ替えや衣替えを頼まれた時は、通常のサービス内でうまく時間等をやりくりして実施できない場合(ケアプランに合わない等)は、事務所までご相談下さい。

 

訪問介護とは何か、施設介護との違いから考える。

 さて、新年度になりました。あらためて「訪問介護とは何か」施設介護との比較を通して考えてみたいと思います。私たちの仕事を、他との比較で外から眺める事は、私たちの仕事の社会的な意義の確認にもなりますし、自身がその仕事を行う意味を深め、より良いサービスへの意識付けにもなると思います。まずは、訪問介護と施設介護の違いを全体的なフレーム(枠組み)から考えてみましょう。

 

 

 定型的な関係と1対1の関係

施設介護では、生活が施設に限定されるため、支援内容も定型的になってしまいがちです。もし、人間関係も“職員対利用者”というように定型化されてしまったら、介護職個人のフレームを超えようとする発想や努力は、煙たがられる要因ともなりかねません。結果として横並び的な支援となり、介護職員があたかも自分を“歯車”のように感じてしまうかもしれません。そうなってしまったら、利用者さんもそこで生活する事が窮屈になってくる事でしょう。“チームケア”の名のもとに個別的な心の交流が遠慮されるようになってしまいます。

訪問介護にもケアプラン(居宅サービス計画)というフレームがありますが、介護現場は地域の中のその人の自宅です。ケアプランにはその人の個性や住環境等を基にしたニーズや目標が主題として書かれ、必要なサービス内容と事業者がそれに対応し、週間プランが組まれています。ヘルパーさんは買い物や掃除、散歩や入浴などの支援のために決められた曜日の決あめられた時間に利用者宅に訪問します。支援内容は日常生活に密着し、困り事であるがゆえに利用者さんはヘルパーさんの訪問を心待ちにする方が多くいらっしゃいます。一方で、困り事であるがゆえに、その苛立ちをヘルパーさんにぶつける方もいます。いずれにしても、ヘルパーさんは利用者さんの心に密着する立場となるのです。

このような訪問介護の環境では、必然的に利用者さんとヘルパーさんの1対1の関係が問われてきます。個別的な心の交流が、どのように行われているのか・いないのか、といったところが、利用者さんの「心待ち」もしくは「苛立ち」に関わってきます。

 

 

訪問介護における人間関係の特徴

人間関係には、定型的な関係を保っておいた方が良い場面があります。例えば、儀礼的な近所の付き合いの場合は、お互いに腹の探り合いになるのは嫌なので、表面的に無難なキャラクターを演じ、距離を置いて適当に相手に合わせる事によって、人間関係に波風を立てないようにし、お互いに疲れないようにします。もっとも、人間関係作りの習性や好みも人それぞれで、誰に対しても自分をさらけ出して個別的な関係を作りたがる人もいます。

利用者さんの置かれた状況に当てはめて考えて見ますと、利用者さんは自分が好むと好まざると、半ば強制的に自身の生活を開示させられています。いわば、ヘルパーさんは自分の内界に侵入してくる異物です。その異物への拒否感や疲労感を和らげようと、利用者さんはヘルパーさんを馴染みものにしようとして、ヘルパーさんとの個別的な交流を求めてくる方が多くなります。その求め方も人それぞれで、例えばプレゼントをあげてみたり、ネガティブな話で自分への歓心を引こうとしたり、ケアプランに無いサービスを要求しフレームを超えたな関係を築こうとします。一般的には個人的な人間関係は良くないとされていますが、このような構造から訪問介護では、必然的に個別的な心の交流が必要となってくるのです。

 

 

訪問介護における理想的な“チームケア”

ケアプランには表現できないさまざまな想いや願いを、利用者さんは持っています。自宅だからこそ自分らしく生きられるし、自分らしく生きたいのです。そのような気持ちを受け止める最前線にいるのがヘルパーさんです。利用者さんの内面に気づき、介護のフレームを拡げていけるような、現場のヘルパーさんの発想や提案がとても大切になってきます。そのため、訪問介護の現場でより良い介護を目指すには、絶対にボトムアップの組織でなければならないのです。そして、現場のヘルパーさんの声がケアプランに活かされるかどうか、その連携をサービス提供責任者が担うのですが、この連携がチームケアの生命線となります。また、現場介護職の悩みを解決しなければ、利用者さんへの良い支援できません。そのような意味で、サービス提供責任者はヘルパーさんを支援する責任を持っています。

主役は、生活者としての尊厳を持った利用者さん自身です。ケアマネージャーはケアの全体の枠組みを構築し、法的なもの含めその根拠をケアプランに示します。サービス提供責任者はケアプランの理念と現実のケアの間に立ち調整をします。ヘルパーさんはケアプレイヤーの主体者として、一般的な礼儀は守りつつも自然体でさりげなく利用者さんの生活に入っていく事が理想です。異物感の無い自然体の関係では、利用者さんも肩の力を抜いて、生活のみならず心をも開いて下さいます。そして、利用者さんがその個性をさらけ出した時、それに本当に向き合おうとしたら、返答するのは手順書ではなく関わる人の個性です。(ただし、利用者さんの心の準備の整わないのに個性をぶつけていくと圧力となる恐れもあります。)

個別的な心の交流が始まると、介護という困難を伴う人生の一場面を共有する、人生のパートナーのような共感が利用者さんとヘルパーさんの間に生じてきます。困難を共有した関係は、とても深い絆で結ばれるものです。1対1の心の交流こそが人の根源的な関係だからでしょうか、それはどこか懐かしい感じがするものです。利用者さんは皆いつか旅立っていきます。しかしいつになっても、その時の顔の表情や感じを思いだす事ができます。

 

 

【紙面研修】

お互いにとって好ましい心の交流について

訪問介護での必然的な1対1の関係は、訪問介護のやりがいでもあるし、大変さにもなってきます。ここでは、その個別的な心の交流の良し悪しを、“交流するエネルギー”(量・方向・質)として考えてみましょう。ことによっては、これが利用者さんの「心待ち」や「苛立ち」を左右するのです

例えば、「利用者さんはヘルパーさんとたくさん話をした方が良い」という前提があったとします。この前提は決して間違いではないのですが、中には「話すのがめんどくさい」とか「静かにそっとしておいて欲しい」という時もあるでしょう。このような場面でヘルパーさんの注目点が「前提」にのみ向けられていたら、利用者さんを“活性化させなきゃ”とヘルパーさんばかりが話をする事になってしまいがちです。

この時のエネルギーの流れは、ヘルパーから利用者さんに向かう量が“圧倒的”に多くなります。このようなアンバランスは、利用者さんを疲れさせてしまいます。似たような例を挙げてみましょう。

 ・娘の母(利用者)に対する要求(〇〇しなさい)が多く、娘が来ると黙ってしまう母

  ・私が興味ないのに、一方的にずっと政治の話をしてくるうっとうしい夫

これらが一概に全て悪いという訳ではありません。凸凹コンビで安定している関係もあります。ただ、他人同士の関係を外側から見ると難なく理解できる事が、自分を含めた関係となると、自分の欲求が勝ってしまい“一方通行”になってしまう事があります。それに気が付かない時は、何かストレスが自分の中にあるのかもしれません。先ほどの「うっとうしい夫」は、実は会社で冷遇されており、妻にも相談できず孤独の内に耐えている…という風に。

 エネルギーの方向や量が逆(利用者 > ヘルパー)の場合もあります。利用者さんが「ヘルパーさんといろいろ話をしたいのに、ヘルパーさんが黙っている」「本音を知りたくて働きかけをしているのに、本音が見えない」というような場合も、利用者さんは満たされません。好ましい関係の為にはお互いにとって、バランスの良いエネルギー量の交流が大切です。なおエネルギーが相手に全く流れない“交流ゼロ”は“無視・無関心”ですから、関係としては終わっています。例えば「小さい子供が親に完全無視されるよりは怒られるほうがまだマシ」という事からもその最悪さは理解できると思います。では、量の次にエネルギーの質(内容)に注目してみましょう。

 ・会社の愚痴ばかり言う夫

 愚痴ってる方はすっきりして、良い心の交流ができたと満足しているかもしれません。妻が「あんた、愚痴ばっかり言ってつまんないよ」と言い返してエネルギーの逆流ができればまだ救いがありますが、逆流ができない場合は、そのまま関係が終わってしまいかねません。エネルギー量の高い側がその関係に対して主導的になりがちですから、高い側から相手に流れていくものの質を検討する必要があります。介護という支援関係があるので、たいていヘルパーさん側が利用者さんよりも高エネルギーです。ですから文脈にもよりますが、ヘルパーさんの愚痴などを利用者さんに聞かせるのはあまり好ましいものではありません。(ヘルパーさんからの流入に対して拒否感があり、一方的に話したり高圧的になる利用者さんもいますが…それは支援の枠組みが合わなかったり、心の置きどころが不安定な方などの場合もあるでしょう)

 

*****【自己点検のポイント】*****

・利用者さんから自分にエネルギーが流れてくるのを感じている?(感じられなければ自分からの量が過大で重いか、過少で利用者さんが冷めている?)

・自分から利用者さんに流れていくエネルギーは好ましい質か?

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