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紙ふうせんだより
紙ふうせんだより 平成30年1月号 (2018/02/02)
“当たり前”な事に最善を尽くす
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。厳しい寒さですからご自愛下さい。風よけにいつでも事務所にお越し下さい。お弁当を食べても良いですよ。
「事務所の人が昼も忙しそうに仕事しているから、居心地が悪いので行きづらい!」
それは配慮が足らず申し訳ありませんでした。休む時はしっかり休んでメリハリをつける。これ仕事の基本でしたね。何でも、小学生に計算問題500問を連続して一気に解く事と、100問ごとに1分の休憩を取る事の両方でテストすると、休憩を取った方が休憩を含めて所要時間が短縮され、しかも正解率がアップしたそうです。「急がば回れ」です。皆さんも何か無くても寄って下さいね。顔を見れば気になる事も思い出しますし、気分転換にどうぞ。
介護の仕事は“誰でもできる仕事”ではない
昨年の年頭は、日本マイクロソフトの社長が「2017年はAI元年」と語っていました。AI(人工知能)の発展は目覚ましく、雑誌やWEBニュースで「AIで無くなる職業のランキング」の特集が組まれていますが、介護や保育は無くならない職業とされています。嬉しくもあり誇らしい反面、複雑な気持ちです。この職種は世間からは“誰でもできる仕事”と誤解され給与は安く抑えられたままであり、どちらも旧来の家父長制的な家族観の中では“嫁”のやるべき仕事とされてきました。近年の日本は、核家族化や女性の社会進出が進み介護・保育の担い手が減少したことから、それらを社会全体で担おうと保育園の整備や介護保険制度を創設してきました。しかし背景には未だに男女不平等や嫁(主婦)差別があるため、その延長線上にある介護・保育の社会的評価は残念ながら低く位置づけられたままなのです。
私が紙ふうせんだよりで介護について多方面から論じてきたのは、介護の仕事を意識的に行いその価値を高めると同時に、その目的は生活や人生の質を高めるという“当たり前”の事だと示したいとの想いからです。AIへの転換が進みそうな仕事は専門的知識が必要(高給なために高コスト)な定型的な業務のようですから、介護の仕事は非定型的なクリエイティブなものだと言えるのですが、当然です。対象とする利用者さんは十人十色であるため介護には初めから“正解”などなく、“最善”を利用者さんや仲間と共に目指し作り上げるものです。もっと言うと、人生や人間そのものが本来非定型的で創造性に富むものなのです。そのようなクリエイティビティを発揮するには、利用者さんやヘルパーさん(そして友人や家族)の関係に創発(そうはつ)的な触発が必要です。その為には一人ひとりが自他の多様性を自覚し、個性をより良く表出させていく努力が必要です。介護の仕事は、人間らしい“当たり前”の事を目指す為に誰にでも始められる仕事ではありますが、最善を尽くし高めていこうとする時は、人間性について思索し自分自身の内面にも目を向ける自覚的努力が必要な為に、“誰でもできる仕事”ではなくなってくるのです。また、過労自殺などの社会問題を見ても“当たり前”の事がもっと重要視され、一人ひとりが尊重される世の中になって欲しいと思います。
創発的な触発を高めていくために必要な事
さてITの巨人と称されるアメリカ企業のグーグルは、生産性の高いチームは何を持っているのか分析し、全体に活かそうという研究「プロジェクト・アリストテレス」を行いました。以下の設問でAとBそれぞれどちらが良い成果を生んでいるでしょうか。まずはチーム内の人間関係や規範(チームカルチャー)に着目です。
Q1. A=社外でも仲良く付き合う友達同士 B=まともに会話をするのは会議室の中だけで
それを出ればアカの他人
Q2. A=強いリーダーのもとに階層的な人間関係を築いている B=フラットな人間関係
Q3. A=仕事中に雑談したり他人の噂話をしたり週末のプランを話すなど、私的なコミュ
ニケーションが交わされている B=オフィス内では仕事に専念し私語は厳禁な雰囲気
社内の何百とあるチームを分析してみましたが、結果は三問ともAとBに差は見られせん。しかし「成功するチームは何をやっても成功し、失敗するチームは何をやっても失敗する」という事が明らかになりました。メンバーの多くが重複する二つのチームでも成功するチームと失敗するチームがあり、成否の違いはメンバーの能力差でもチームの仕組みの問題でも無かったのです。浮かび上がってきたのはチーム内で他者に対する気遣いや配慮や共感が自然と交わされているかどうかでした。成功するチームには「心理的安全性」があったのです。
「本来の自分」を発揮できる当たり前な人間関係を目指して
「心理的安全性」は認知症ケアなどにも活かせそうな“当たり前”なキーワードですね。これは例えば「こんなことを言ったら馬鹿にされないだろうか」とか「叱られないだろうか」というような、不安な気持ちが払拭される関わり合いです。例えば会議の場では(途中で遮られるかどうかは別にして)全員が言いたい事を言える雰囲気が自然に醸成されている事が重要であり、指示やルールという押し付けでできる事では無いというのです。しかしそのために何ができるかは悩ましく、グーグルのあるリーダーはインフォーマルなミーティングで進行の遅い転移性の癌が自身にあると明かしました。すると他のメンバーが続いて自分の気持ちを打ち明け、自然とお互いへの気遣いや配慮などの語り合いになったそうです。
ジャーナリストの小林雅一は「プロジェクト・アリストテレス」の結論に対し、現代ビジネスの記事で次のように締めくくっています。「もちろん公私混同はよくないが、ここで言っているのは、そういう意味ではなく、同じ一人の人間が会社では『本来の自分』を押し殺して、『仕事用の別の人格』を作り出すことの是非である。多くの人にとって、仕事は人生の時間の大半を占める。そこで仮面を被って生きねばならないとすれば、それはあまり幸せな人生とは言えないだろう。社員一人ひとりが会社で本来の自分を曝け出すことができること、そして、それを受け入れるための『心理的安全性』、つまり他者への心遣いや共感、理解力を醸成することが、間接的にではあるが、チームの生産性を高めることにつながる」
「本来の自分」を発揮できるようになる事は、自分自身に対する“自立支援”でもあり、利用者さんの自立を促す事にもなると私は考えます。皆さんが声の一つ一つが紙ふうせんの宝物です。皆さんの気持ちを聴いて紙ふうせんが心の拠所となり、皆さんの意見をもとに最善を尽くしていきたいと思います。梅丘にも祖師谷にも気軽に遊びに来て下さい。
【お願い】インフルエンザ予防接種をお願いします。
領収書を持参して頂ければ、1000円を助成します。
【ごあいさつ】
皆さんお元気ですか?寒さに負けてはいませんか?自転車で腰がスース―するので、私はダイソーの100円腹巻を愛用しています。商売道具は大切にしないといけませんね。介護の仕事を続けるには身体も大切です。同時に、人と関わる訳ですから私は常に新しい気持ち(=心を大切に)でありたいと思っています。もちろん悩む事もあり、悩みから距離を置いて周囲をウロウロとして余計な事に手を出して気持ちは晴れず、結局元の所に戻ってきて悩みと向き合います。「足下を掘れ!そこに泉あり!」という事なんでしょう。自分の立っているところを見つめ直し悩みを掘り下げることによって、新しい“価値”を見出すことができます。介護の仕事を続ける価値、人生の価値等々、これらは与えられるものでもどこかに在るものでもありません。自分がその井戸から水を汲み続ける限り、泉は無限に湧き続けるでしょう。汲むのをやめてしまった時、泉は枯れてしまう。そうやって心の泉を汲むのです。
そんな事を考えながら、来年度の研修の在り方を考えています。構想としては、梅丘での開催を「基礎研修」と位置づけ、祖師谷でも定期的に「発展研修」を持ちたいと考えています。祖師谷はサ責や意欲の高い方などが対象です。具体的な事(年間研修計画等)が決まったら、2月か3月には紙ふうせん紙上にてご案内します。
心と身体に気を付けて下さい。本年もどうぞよろしくお願いします。 佐々木伸孝
年に一度は健康診断をお願いします。
平成29年度の健康診断結果の提出をお願いいたします。結果表を提出の際は、領収書を持参して下さい。費用をお支払いたします。
受診がお済で無い方は受診をお願いします。受診先等に迷った場合はご相談下さい。なお、世田谷区では500円で受けられます。
~~個別面談のお知らせ~~
年に1回程度呼びかけをしている個別面談を、今回もお声掛けいたします。
定例のヘルパーミーティングとは別途開催です。
特に定例のヘルパーミーティングや研修に参加できていない方、お待ちしています。
「個別面談研修」として有意義なものにしたいと考えておりますので、以下を面談に臨む時の留意点とさせて下さい。
★自分自身に対して自覚的な姿勢をもって、自分は何について話をしたい
(話を聞きたい)か、事前にできるだけテーマ(課題)を明確にする。
とはいえ、上記のように断るとハードルが高すぎる懸念もありますので、まずはお気軽にお申込み下さい。(※サービス提供責任者の面談も行います)
【内容】個別面談研修 一応事前予約制(申し込みは電話・FAX可)
【面談対応者】佐々木・斉藤・本郷・小泉(指名制)
【会場】梅丘もしくは祖師谷事務所 他
【日時】希望を受け相談
※同封の「面談申し込み書」でお申込み下さい。
「個別面談申し込み」は今回の期間以外でも随時申し込みできます。
【期間】平成30年3月上旬まで
※登録ヘルパーさんの研修手当は1370円です。
~~ヘルパーミーティングのお知らせ~~
【日時】 2018年 2月15日 木曜日
梅丘の事務所内にて
★担当利用者さんの状況等・支援計画の変更の必要性の有無 ★今月の議題・伝達事項
会議参加手当(ミーティング)は1回につき1370円です。
研修会】 健康管理② (担当・伊藤)
(ヘルパーミーテイングと同時開催。個別研修計画に基づく研修会です)
2018年2月2日 5:17 PM | カテゴリー: 紙ふうせんだより